プロトコル(治療計画)について調べた
一昨日の確定診断と同時に渡された、プロトコル(治療計画)について調べた。
小児および若年成人におけるT細胞性急性リンパ性白血病に対する多施設共同第Ⅱ相臨床試験実施計画書 (ALL-T11)
これらしい。2011年より実施され、新規募集こそ終わっているものの、現在も追跡期間中の臨床試験だ。
100ページ以上あって読むのが大変なので、概要については以下の中間報告書を読むほうが早い。
小児造血器腫瘍(リンパ系腫瘍)に対する標準治療確立のための研究 小児・思春期・若年成人 T 細胞性急性リンパ性白血病の標準治療の確立
以下で解説するが、白血病の概要と標準的な治療についての知識が必要なので、知らなければ以下のサイトに目を通してほしい。
さて、この臨床試験の目指すところは以下の通りだ。
- 新薬を使うことによる治療成績向上
- 予防的頭蓋照射の全廃
- 造血幹細胞移植の適応の縮小
- 新たな治療反応性指標の模索
- 移植前における2種の抗がん剤の比較
- 年齢ごとの治療成績の比較
- 治療後の合併症の評価
罹患者として重要なのは最初の3つ。特に、2.と3.は治療後のQOLの向上が期待される重要な項目だ。
予防的頭蓋照射の撤廃
予防的頭蓋照射とは、脳にがんが転移することを防ぐために、あらかじめ頭部に放射線を照射する治療だ。しかし、この照射は術後、記憶障害などの副作用をもたらすことがある。もしこの照射をしなくても別の方法で転移を防げるのであれば、やらないに越したことはない。
この臨床試験では新薬の使用と投薬期間の延長・強化などによって、照射の代替とすることを目論む。
造血幹細胞移植の適応の縮小
造血幹細胞移植 (いわゆる「骨髄移植」。今は骨髄由来以外の移植も可能なためこのように呼ぶ) は、次のような手順で行われる。
1のフェーズで白血球を死滅させるため、免疫力が著しく落ち、種々の感染症にかかりやすくなる危険性と、2-3のフェーズで身体がドナーの細胞を受け付けずに激しい抵抗を起こす危険性がある。
造血細胞を根こそぎ入れ替えるため、移植が成功した後の再発率は低くなるのだが、上記のような大きなリスクがあるゆえ、なるべく薬で治したいところである。
正直、今一番の不安材料はこの移植に対する副作用だった。だから、この臨床試験のプロトコルを採用することで少しでも移植の可能性が減るのならとても嬉しい。